
ガレージキット(以下、ガレキ)の値段が騰がっているという話を前回しましたが、実際ここ最近はイベント会場で他卓に並ぶフィギュアの値段を見る度に実感します。
繰り返しになってしまいますが、今回の夏ワンフェスでは、1.5万円〜2万円が最安ライン、みたいな印象を受けました。いやもちろんこれはディーラーさん毎にまちまちで、もっと安い値段を付けて販売しているディーラーさんも多いです。自分が言っているのはだいたいスケールやボリュームにして1/8前後のものを見て感じた値段です。
で。値付けはディーラー側の理屈で、かかったコストや時間、情熱、そういったものを値段に換算して一体あたりの値段を付けます。この方法論も人それぞれで、アマチュアの場合ですと「自分が作るのに使った時間」つまり労働に関するコストは度外視する傾向は強いと思います。仕事じゃ、ありませんからね(´・ω・`)。つか、ここを時給なりで加算し始めますと、一体の販売コストはとんでもないことになりかねません。ただでさえ数が売れない(大量生産しない)ガレキですからひとつあたりの単価がものすごいことになります。
だいたい材料費やイベント参加費、ディーラー自身がイベントに参加するための旅費や宿泊費等々を販売個数の期待値で割って、で値段を付けるんじゃないでしょうかね。
自分の場合、販売計画時の目標は「完売」ですが、しないことも考えて値付けをします。思惑が外れて半分ほどしか売れない! みたいな状況に陥ると参加だけで赤字になってしまいますからね…。そのへんは多少色を付けてリスクヘッジします。首尾良く売れてくれれば余剰も生じますけども、それほど大きな額にはならない…という感じに。
しかし最近では、もうひと軸評価観点が増えている感じです。すなわち「買い手側のお財布(予算)」です。
たとえばディーラーが皆、渾身の力作で「3万円です!」という商品がずらりと並んでいたとしたら。一体どれだけのディーラーが無事に「買われる」だろうか? と。
各ディーラ−の値付けが「1万円」であれば、財布が5万のお客さんなら気に入ったものを5つは買える訳ですが、3万円となると「1つしか買えないよな…(´・ω・`)ざんねん」
となりかねません。
というか今回のワンフェスでは既にそういう状況になってるっぽいな…と感じました('A`;)。ディーラーそれぞれの値付けが買い手にとっては「買えて2個、3個」かな…と。
買い手もたくさん集まる国内最大規模の立体販売即売会であるワンフェスにおいても、それぞれの買い手が「買えて2,3個」になりつつあるのが現状です。(…猛者はこの価格になっても5個10個と買い漁ってくれているようですが…。皆が皆そういう訳ではないですからね…)
多分にフィギュア(キット)の値段上昇に対して、購入側の財布(趣味に使える金額)が伴ってない感じだな…というのがイベント会場での肌感覚でした。
具体的には…今までなら「この出来ならすぐに完売してるだろうな」と事前に宣伝など見て思っていたディーラーさんの商品が、午後になっても売れ残っていたり。
出来がいいだけではもう買われないご時世。
「自分の好きなものを自分の技術と時間を費やして自分なりの最高に仕上げて、複製して、販売する」ディーラーの本質的な気質からしますと、この状況はちょっと厳しいですね(´・ω・`)。「どうすればええねん」となりかねません。
値段を下げたら買われるのでは、というのは一面の真実かもしれませんが、一方で「本当に好きな人は値段に因らず買っていく」趣味性が高い商品であるのもガレキの真実。
値付けや作品の方向性については、今後はさらに悩まされることになりそうです。
「何が大事なのか?」を再設定して、どんな作品をどれくらいの値段にしてどれだけ売ることができるか…という感じで臨まないと待っているのは赤字と在庫の山、「ディーラー大絶滅の時代」なんてことになりかねません。
漠然と周りの値付けを見渡して「じゃあウチもこんなもんかな」とか、「なんとなく」でやっていると大やけどしそうです。
次は、「じゃあオマエはどうするんだ(・3・)?」について書いてみようと思います。